2017年6月20日

図書館に行った話

午後から妻と待ち合わせて、武蔵境の武蔵野プレイスへ(定休日の話です。念のため)。武蔵野プレイスは(くわしくは知らないのだけれど)一階のカフェでおいしいパンケーキを食べることのできるきれいな図書館です。わたしは図書館に行くときにも手持ちの本を読んでばかりで、ちょっと目線を移したいときに書架から一、二冊抜き出してきたり、ということが多い。今日は読みさしの千葉雅也『勉強の哲学』のつづきから。途中、書架から2007年に出ていた道の手帖『正岡子規』や饗庭孝男の評論集などを持ってきてパラパラと頁をめくる。こういうのがたのしい。夕方までそういう風に過ごして、千葉雅也『勉強の哲学』、リディア・デイヴィス『分解する』を読み終え。特に『勉強の哲学』は面白く読んだ。突き詰めると限りがなくなるはずの「勉強」を有限にするために個人の享楽が必須であるという話、そしてその享楽的なこだわりは、自分の興味関心の変遷や背景を反省していくことである程度変化させることができるのではないかという話に引き込まれた。そういうことで、今日はめずらしく本を一冊も買わず、替わりに池田澄子のエッセイ集を借りて帰路についたのでした。

2017年6月14日

空梅雨

「六月は学校が休みになる祝日がないから嫌いだ」というような台詞が『ドラえもん』にあるのだけれど、まあ、店などやっていると基本的に定休日のほかに休むことなどないうえに休めば休むで日銭が入ってこないわけで、六月に対しては好きも嫌いもなく、強いて言うならば紫陽花が美しい季節だという点では好きで、雨が降りすぎると売り上げが落ちるという点では嫌いです。それにしても、今のところあまり降らないですね。空梅雨になるのか、まだまだこれからなのか。それではまた最近のことを少しずつ書いてみます。


Aさんは近所にお住まいで、たまに寄っては詩集や句集を買ってくれたりする。もともとは音羽館によく足を運んで下さっていてこちらは顔を覚えていた。ある時、神保町で見かけて思わず話しかけて店のことが書いてある名刺を渡したのが縁で(自分にしては思い切ったものだ)足を運んで下さるようになった。はじめて来て下さったとき熱心に棚を見て、お会計の時に「ここは三井葉子があるんだからね」「いいよね」と笑ったのが印象的で、うれしくて、忘れられない。そのAさんが先日ある句集を見つけて、「これをずっと探してたんだ」「こんなことがあるんだ」「信じられない」とこれもまたAさんらしい屈託のない喜びようだった。目をきらきらさせて。こちらまで、胸がドキドキした。


そんなAさんの喜びようを目の当たりにしたものだから、Oさんと「見つけたときにあれだけ喜べるような探している本はあるだろうか」という話になった。「伊藤重夫かな」「なるほど」などと話していると、「伊藤重夫の『踊るミシン』復刊しますよ!」と売り場から声が。声の主は常連の男の子で、伊藤重夫の『踊るミシン』を復刊するためのクラウドファンディングが行われていると教えてくれた。早速わたしとOさんはそのクラウドファンディングに参加したのだった。


古本屋で働いていると名前の読みかたが変わっている作家をたくさん知ることになる。Oさんははじめて知る名前も多いようで、いちいち新鮮に驚いてくれるのが面白い。折口信夫、古山高麗雄、山川方夫、尾崎秀樹あたりはそういう話題の定番か。関係あるようであまり関係ないが、Oさんは俳号に「――子」と付くのを女性だと思い込んでいたそうで、俳句雑誌の巻頭グラビアを見て「女性だと思っていたひとが全員おじいさんだった」と言っていた。


最近の読書の話。ジェイン・オースティン『自負と偏見』を新潮文庫の小山太一による新訳で読んだ。「精緻な人間観察」とよく言われるあれこれだが、あるひとがこういう見方をしていて、それがあるきっかけで全くの別の見方をするようになる、というとてもシンプルな話法がなぜこれほど魅力的なのだろう。600頁を超える長編を飽きることなく一気に読み終えた。誰かと感想を分かち合いたい気分。ああ、それからエリザベスがミスター・ダーシーの留守中の邸宅で彼の肖像画を見る場面がとてもよかった。肖像画のなかから向けられる、その生き写しの眼差しに晒されることで彼の誠実さを思い知る。とても美しい場面で、後半の白眉だと思った。次は何を読もう。考え中。

2017年6月8日

『隔月新聞ごはん』のこと

こんにちは。ちょっとお知らせです。南口のリトル・スター・レストランが発行している『隔月新聞ごはん』の新しい号で、よもぎBOOKSさんといっしょに「新・本のソムリエ」というコーナーを担当させていただくことになりました。今配布中の号では「料理」をテーマにそれぞれ一冊ずつ紹介しております。リトル・スター・レストランのほか、まほろば珈琲、こいけ菓子店、よもぎBOOKS、みたか観光案内所、そして弊店でお配りしています。ぜひお手に取ってご覧ください。


リトスタは(ご存知の方も多いとは思いますが!)南口のごはんとお酒のお店です。家族で、ひとりで、友人と、子どもを連れて、いろいろなひとにとって居心地のよいお店で、ほっぺたが落ちるほどおいしい家庭料理やおつまみがあります。ぜひ。

2017年6月6日

購書日記(5)

定休日の火曜日。午後から妻と映画へ。後に渋谷のSHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERSへ。ここでは立ち読みだけで買うに至らず。新宿へ移動して紀伊國屋書店へ。2階でUさんにご挨拶。お互いの近況報告や読んで面白かった本の話など。棚を見ているうちに高ぶってきて、『飯島晴子の百句』『藤田湘子の百句』『安藤元雄詩集』『ユリイカ』総特集「大岡信の世界」を買う。最近の読書の話も。川上弘美『大きな鳥にさらわれないよう』を面白く読んだ。愛と継承、小説の力、小説にはこれだけのことが描けるのだよ、ということ。今までに読んだ川上弘美のなかで一番好きかも知れない。アディーチェの『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』は恥じ入りながら読んだ。自分がどれほどジェンダーの問題について無自覚であったかということを。フェミニズムについては分かっているふりが最も危険。省みることをやめてはいけない。そんなこんなで、ここのところ読み終わったのは2冊、買ったのは4冊で積読は微増。ちなみに今手をつけているのは新潮文庫の『高慢と偏見』。

2017年5月30日

購書日記(4)

読むスピードを買うスピードが上回ってしまうのが道理で、積読は微増の一途をたどるのだけれど、マンガだけは読む、買う、がほぼ同じぐらいのペースになる。そういうわけでマンガの話。つゆきゆるこ『ストレンジ』、春泥『ガンバレ!中村くん!!』、なかとかくみこ『塩田先生と雨井ちゃん』2巻を読む。『ストレンジ』は男同士の友情を共通のテーマにした短編集で、厳密にはBLではないのだけれど、BLは好きだけれどエロは不要と常々考えている自分にはとても面白かった。『ガンバレ!...』はOさんから見せてもらって画が気に入り、買おうと決めていた。私屋カヲルの『少年三白眼』を思わせる懐かしいキャラクター・デザインが好ましい。めちゃくちゃオススメ。『塩田先生...』も画が少しだけノスタルジックで、ギャグのお約束感がたまらない。話は替わって、マンガを探し求め、ひさびさに吉祥寺のジュンク堂に行ったときのこと。ついでと思い文芸のコーナーを見ると、前に来たときよりも詩歌の棚がかなり小さくなっていた。むむむむ。